「お腹に力を入れて、健康に悪くないのですか?」という質問を受けます。「とんでもない!健康と元気の両方を手に入れたければウンとお腹(下腹)に力を入れるべきなのです(お腹に力を入れたとき、息を止めてはいけません)。」そのことを解説します、「丹田」「肚」と古来よばれてきたことです。
多くの先哲は丹田練磨の重要性を述べています(「先哲に見る丹田」に記載)が現代人にはその把握が難しくなったようです。丹田練磨は姿勢を正す事を基本とした諸芸道などによりなされますが影の主役ともいうべきものがあります。褌、腰帯の構造をもつものです。この活用により、普通の人でも相当に丹田強化は可能です。というよりも芸道などの稽古をしない人、もしくは出来ない人が強い丹田を獲得する唯一つといって良いほどの方法ではなかろうかと考えます(メタボ解消にもつながります)。
充実した丹田は心身ともに良い結果をもたらせます。医学的説明も相当可能なので少し書いて見ます。下腹に力を込めるということは、胸腔と腹腔を分ける横隔膜が下がるということで、このことが重要な意味を持ちます。横隔膜が下がると、胸腔が陰圧になり、広がります。このことは肺の容積も広がるので呼吸が楽になります。また同じ理由で心臓も楽に働く事になります。横隔膜の下、腹腔内では逆に圧力が上がります。この意味は、肝臓、胃、太陽神経叢など腹部臓器にマッサージ効果をもたらせます。もう一つ大きな働きは、腹にある多量の静脈血を心臓に送り返すポンプの役割をするということです、腹圧は第二の心臓と呼ばれている理由です。(以下はタンデンアーツの見解です)心理的側面においては、「東洋的無心」ということをもたらせる大きな原動力となると考えられます。以上のような良い事ばかりで、悪い事は何もありません。内臓諸器官に良いわけですから元気になるということです。
下腹に力をこめれば丹田は現れます。誰にでもできることです。丹田で大事なのは終日、腰と下腹に力がみなぎっていることです。意識ということが関わってくるので難しいのです、終日の丹田維持の出来る人は多くありません。ところがある一つの簡単な工夫で誰もが充実した丹田を維持することが可能となります。先に述べた腰から下腹(丹田部)にかけて帯状のもので適度に締める(腹圧を加える)ということです。明治期以前の日本人は和服という形で幾百年にわたり、生まれてから死ぬまで、褌、腰帯などで腰と下腹を固定した生活を送ってきました。この褌、腰帯などが、日本に「肚」(丹田)の文化が花開いた影の主役であったと私は考えます。話が飛びますが・・。もしも日本人が食事で箸というものを一切使用しなくなったら「日本食」というものがどうなるか・・。多分崩壊といって良いほどの変化を生じると思います。ところが服装の世界では日本人の洋装化により和服を廃したことで同時に丹田(肚)も忘れられてしまった(褌、腰帯を排したことによる)、という重大な精神構造の変化が明治以降、日本全体に起きたのだと私は考えます。腰帯の効果について、同様の考えの人としては日本海会戦の立役者であった秋山真之氏、「褌論」(後述)や河野十全氏(戦争中十七歳で褌の原理に気付き、百歳を超えるまで十全帯「褌といっていいベルト」を締め続けた)などが特に挙げられます。現代でも相撲のまわしや空手、柔道の帯、剣道の袴などが残されています。同じ構造を持ちます。
丹田の練磨は体を良く使うことや諸芸道の稽古をすることにより、より強くなるのはもちろんですが終日の丹田維持が望ましいのです。諸芸を稽古される方でもその芸を離れたときに丹田の維持ができているかということになるとどうでしょうか。一本の腰帯状のものが終日の丹田維持を可能にします。
ところが現代人にとって帯の使用は難点があります。結び玉が出来ることや何度も巻きつけることです。現代の洋装には合いません。わがタンデンアーツは腰から下腹にかけて締め、任意の腹圧を可能とした丹田専用のベルト、自称「丹田ベルト」(64mm幅)を開発しました(開発に十年かかりました)、あとで紹介します。
以降、丹田といえば終日持続する丹田(腹圧力)の事とお考えください。(短時間の丹田充実が悪いのではありません、理想は終日の充実であるということです)。先哲の丹田に関するコメントを「先哲に見る丹田」(各種の本から部分的に抜粋)で、タンデンアーツ(森)独自の考えを「丹田考」で、そして「丹田ベルト」の紹介などをします。

